COLUMN

売上33%増!高島屋に聞いた、失敗しないBtoC向けMA(マーケティングオートメーション)ツールの選び方

業界で大きく盛り上がっているMAの領域。 MAツールも数が増えてきて、導入するにしてもツールの選定が大変なんて話もよく聞きます。

今回は、ECサイトのMA活用で大きな成果を上げている創業1831年の老舗百貨店、高島屋さんにMAツール選びのコツをうかがってきました。

長峰 崇氏:株式会社高島屋 クロスメディア事業部 カタログ・ネット・テレビ販売部 ネットチャネルグループのグループマネージャー。高島屋オンラインストアのMA導入を推進。
蔭山 晃一氏:株式会社高島屋 クロスメディア事業部 システムグループのグループマネージャー。システム面からMA導入のサポートを行う。

 

“できること” 重視で導入ツールを決めた過去の苦い思い出

―「失敗しないMAツールの選び方」というテーマでお話をうかがいたいと思います。高島屋さんはどのようにMAツール選定を進めましたか?

― 長峰氏
MAツールの選定は、かなり入念に進めた方ではないかと思います。
というのも、以前、他のツールを導入した時、「なんでもできる素晴らしいツールだ!」と簡単に導入を決めてしまった結果、大失敗した苦い経験があるからです。

 

ベンダーのプレゼンテーションを聞く限り、素晴らしい製品に思えたツール。しかし、いざ導入してみると、自分たちのほしいデータが取れない、やりたいと思っていたことができない、という事態が頻発したそう。

間に入った代理店に対応をお願いしても「そこはサポートの対応範囲外です」という塩対応を受けてしまい、泣く泣く解約したという苦い経験があったんだとか。

― 長峰氏
そういった過去の教訓を活かし、今回のMAツール選定では「何ができるツールか?」ではなく「私たちがやりたいことを実現できるツールか?」という観点で進めました。

 

「ツールにできること」ではなく、「自分たちがやりたいこと」重視でMAツールを選んだ、というわけですね。

候補となるベンダー・製品を絞り込むため、高島屋さんがまずおこなったことはいわゆる情報収集。Web検索をおこない、製品資料を請求。ベンダーが主催するMAセミナーにも参加し、時にはMAツール導入企業に直接連絡をして、ツールの使い勝手をヒアリングするなど、かなり貪欲な情報収集を行ったそうです。

 

ベンダー各社に自社データを提供し、どのような提案が返ってくるかを調査

―候補となるベンダー・製品が出揃った後、次はどんなアクションを取られたのでしょうか?

― 蔭山氏
選定ポイントの1つが、当社の複雑なデータをベンダーさんが理解できるか? ということでした。
そこで、当社基幹システムの顧客マスタ、商品マスタ、受注データなどの一部を候補ベンダーさんに提供し、どのような提案をいただけるか見させていただきました。

 

高島屋オンラインストアは、「ギフト商品」がとても充実しています。そのため、同じお客様であっても「ギフト需要」と「自家需要」ではまったく異なる購入傾向になるんだとか。

購入傾向の把握には「購入商品」だけでなく、「母の日」「お中元」「クリスマス」などの「購入目的」を押さえる必要があり、その結果、データ構造が一般的なECサイトと比較してかなり複雑になっているそうです。

データ構造を理解されないまま提案を受けても、以前の二の舞いになると危惧した高島屋さんは、まず各ベンダーにデータを見てもらうというプロセスを取ることになったのです。

 

ベンダーによって対応は千差万別。「なんでもできます!」というオーバートークのベンダーも

―ベンダー各社の反応はどのようなものでしたか?

― 長峰氏
対応は本当にまちまちでした。データ構造を理解しないまま、営業さんのオーバートークで押し切ってくる会社もあれば、データ分析はしたものの、その結果が私達の感覚とかなりズレているような会社もありました。

 

― 蔭山氏
最終的に選んだベンダーさんは、プロジェクト開始前に実際のデータを使用して、検証まで行っていただき、その分析結果も私たちの感覚に近いものでした。

 

比較検討の結果、高島屋さんが選んだツールはブレインパッドのBtoC向けMAツール「Probance(プロバンス)」。

入念な選定のかいもあり、ツール導入から3か月後、メール経由での数値はサイト訪問数39%増、決済件数27%増、売上33%増という成果(前年同時期対比)が出ているそうです。

 

【1問1答】高島屋に聞く!MAツール選定で気をつけたいこと

ここからは1問1答形式で、MAツールの導入時に多くの企業が「知りたい」「気になる」ポイントについて、高島屋さんにお答えいただきました。

―Q1:MAツール、正直使いこなせていますか?

― 長峰氏
他のツールでの失敗経験もあるので、「担当者が使いこなせる」は選定条件の1つにしていました。
特に、これまでやってきた施策のすべてが新しいツールでも再現可能か?については入念にチェックしたので、問題なく使いこなせています。

―Q2:メールが自動でパーソナライズされることに不安はありませんでしたか?

― 長峰氏
パーソナライズメールがどんな内容になるかは、MA実施前にかなり検証しました。 配信対象となるAさん・Bさん・Cさんでそれぞれどんなメールが届くかサンプルを抽出してもらいました。それをベンダーさんと一緒に確認してからMAを始めたので特に不安はなかったです。

―Q3:「MAではPDCAが大事!」と聞きます。高島屋ではどのようなPDCAを行っていますか?

― 長峰氏
PDCAについては私たちも不安に思うところがあったので、ベンダーさんのアフターフォロー体制を契約前にしっかり確認しました。導入直後は週1回、今は隔週1回ペースでベンダーさんと打ち合わせしています。
ベンダーによって「運用報告は月1回資料のみ」とか「ミーティングは月20時間まで」などフォロー内容もまちまちです。どのようなフォローがほしいかを導入前に確認しておくことが大事だと思います。

―Q4:自社のデータがぐちゃぐちゃなので、MAを実施できるかどうか不安です。

― 蔭山氏
当社もデータ構造がかなり複雑だったので、ベンダーさんに事前に相談し、基幹システムとMAツールの間にDMS(データ・マネジメント・サービス)をかませるという提案を採用しました。
DMSを使ってデータをMAツールで使えるようにしてくれたので、基幹システム側は特に何もいじらずにそのまま使用できています。

 

マーケティング “オートメーション” だからといって、すべてが自動化するわけではない!

最後に、これからMAに取り組むマーケターのみなさまに向けて、高島屋のお2人からアドバイスをいただきました。

 

― 長峰氏
特にお伝えしたいのは、「マーケティングオートメーション」だからといって、すべてが自動化するわけではないということですね。 MAツール導入企業にヒアリングした結果、以前より業務が増えたという企業も多かったので、当社ではツール導入予算と同時に、人員増加の予算も確保しました。特に導入初年度は運用が落ち着くまで大変だと思うので、「楽になる」という意識はあまり持たない方がよいと思います。

 

― 蔭山氏
「自社が実現したいこと」を明確にしておくべきだと思います。「ツールにできること」を基準にMAを始めると、「あれもやりたい・これもやりたい」で施策が増え、迷いが生まれますし、それだけで安心してしまう面があると思います。 これからMAに取り組もうとする企業様にとっては貴重なアドバイスですね。

 

長峰さん、蔭山さん、本日はどうもありがとうございました!



*本インタビューは、Ledge.aiからの転載となります。