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「ツール選びはベンダー選び」高島屋がMA(マーケティングオートメーション)導入を成功させた秘訣

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以前も取り上げさせていただいた、高島屋のMA(マーケティングオートメーション)の事例。33%もメール経由の売上が増加したという成果もさることながら、MA選定の仕方という観点でも勉強になった方も多いのではないでしょうか。

今回は、引き続き高島屋に、MAの導入のプロセスについてうかがってきました。

導入支援をおこなったブレインパッドにもご同席いただき、導入プロジェクトを振り返っていただきました。

長峰 崇氏:株式会社高島屋 クロスメディア事業部 カタログ・ネット・テレビ販売部 ネットチャネルグループのグループマネージャー。高島屋オンラインストアのMA導入を推進。
蔭山 晃一氏:株式会社高島屋 クロスメディア事業部 システムグループのグループマネージャー。システム面からMA導入のサポートを行う。
西村 陽子:株式会社ブレインパッド デジタルソリューション統括部 Probanceコンサルタントグループのグループマネージャー。

 

【導入準備】データを柔軟に利用するため、データ集約・整備・分析を専門に行う「DMS(データマネジメントサービス)」を構築

導入準備では、データ整備のプロセスに特に時間をかけたそうです。背景には高島屋ならではの事情がありました。

― 蔭山氏
高島屋オンラインストアはギフト商品がとても充実しています。同じお客様でもギフト需要と自家需要では購入傾向がまったく異なるので、購入目的を押さえる必要があるのです。
その結果、一般的なECサイトと比べて、マスタのデータ構造がかなり複雑になっていました。

こうした複雑な構造のデータをMAに利用するため、ブレインパッドが提案したのは、DMSの構築でした。

*DMSとは: DMSはData Management Serviceの略で、カンタンに言うと「膨大なデータを集約・整備・分析・管理するためのハコ」

― 西村
高島屋さんの複雑なデータは、そのままの形ではMA施策に利用できなかったので、DMSでいったんデータを整備してからMAツールに流し込む提案をさせてもらいました。

DMSがあることで、元々の基幹システムや顧客データベースを改修することなく、MA施策をスタートできるというメリットがあるんだそうです。

こういった提案がちゃんとある、ということもツール選定、ベンダー選定の際に大事なポイントなのかもしれませんね。

 

【実施施策】導入から3カ月で60本のシナリオを運用。顧客行動に応じたメールを自動配信

5カ月ほどの準備期間を経て高島屋のMA施策はスタート。開始から3カ月経過時点での運用シナリオは60本。以下のような施策が行われています。

・ウェルカムメール(初回購入の促進)
会員登録の翌日に、人気商品を紹介するメールを送信
・トリガーメール(追加購入の促進)
商品を購入した顧客向けに、購入目的や商品カテゴリに応じたおすすめ商品メールを購入7日後と14日後に送信
・プロモーション連動ワンショットメール(ギフト需要の取り込み)
「お中元」「母の日」「父の日」など、年1回のギフトイベントに合わせたメールを送信
・クーポン送付(顧客離脱の防止)
一定期間購入がない顧客には、送料無料のクーポンをメール送信。クーポンの有効期限が迫るとリマインドメールを自動送信

特に力を入れているのが、ギフトイベントにあわせて実施されるプロモーション連動ワンショットメール。

たとえば、前年に父の日ギフトを購入した顧客には、その時の購入商品や購入金額帯に応じて、父の日近くにパーソナライズメールが送信されます。

年間の祝い事や祭事のギフト需要を見込んで、このようなシナリオが多数設定されているそうです。

MA施策という観点では、シナリオの精度だけではなく、レコメンドの精度も高いのが特徴なんだそう。そのレコメンドにはブレインパッドが高島屋のために独自構築した機械学習レコメンドエンジンが使われています。

― 西村
単純なレコメンドエンジンだと、男性のお客様が奥様へのプレゼントに婦人服を買われた場合、その後婦人服ばかりレコメンドされてしまうからです。
ギフト商品が充実している高島屋さんの場合、購入商品だけでなく、お客様の会員属性や購入目的など、多軸の要素を機械学習で分析しなければ、ふさわしいレコメンドができないと考えました。

機械学習によるレコメンドの威力が特に発揮されているのが、高島屋の人気商品福袋です。

福袋には、キッズ・ベビー、ワインなどさまざまなカテゴリがあるため、顧客属性や行動など多軸の要素を分析しなければ、ふさわしいジャンルの福袋がレコメンドされないんだそうです。

ふと考えれば、当たり前なことも、あまりできていないことも多々ありますよね。ECのレコメンドなどでよく出会う場面だと思います。当たり前のことを当たり前に考慮した仕組みになっているのが、ユーザー体験を損なわずに売上のインパクトを大きくする秘訣なのかもしれません。

MA実施により、サイト訪問数39%増、決済件数27%増、売上33%増加へ!

こうした取り組みの結果、高島屋はMA導入から3カ月後、メール経由での数値としてサイト訪問数39%増、決済件数27%増、売上33%増という成果(前年同時期対比)を実現しています。

最後に、MA導入プロジェクトを長峰さんに振り返っていただきました。

― 長峰氏
運用シナリオ60本というのは、とても手動では実現できないような本数です。このように成果も着実に出ていますので、MAを導入して本当に良かったと思います。今後は各シナリオの最適化を進めながら、メール以外のチャネルとしてLINEの活用や、高島屋実店舗と連携したオムニチャネル施策にも取り組んでいきたいと考えています。

「ツール選定はベンダー選定と同義」とおっしゃっていたのが、とても印象的でした。ツールを売るところまでが目的になってしまうベンダーも多い中、どこまで伴走してくれるのかを見極めるのも、導入のときに必要な観点なのかもしれません。

 

*本インタビューは、Ledge.aiからの転載となります。